研究が導く!外回りに必見の夏の暑さ対策法

間もなくパリ五輪が開幕(7月27日)します。最近の夏季大会でアスリートたちが直面する最大の課題の一つが「酷暑」です。特に近年の気候変動により、夏の気温が一層厳しくなることが予想されており、暑熱順化の重要性が増しています。
日経新聞のサイエンス面に掲載された記事では、スポーツ科学が解明しつつある人間の暑熱順化能力と、それを活用したアスリートの育成法について紹介されていました。

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人間にはもともと暑さに身体を順応させる「暑熱順化」の能力が備わっています。この順化プロセスは、継続的な暑さに晒されることで身体が適応し、効率的に体温を調節できるようになる現象です。具体的には、暑い環境に身を置くことで汗の元となる血漿(けっしょう)が増え、発汗量が増加し、体内の熱を逃がすことで深部体温の上昇を抑え、心拍数も下がるとされています。この過程により、体が暑さに対する耐性を高めることができます。
この自然の順化プロセスを効率的に活用するための研究が進んでいます。例えば、アラブ首長国連邦(UAE)で行われるトライアスロンの世界大会に向けた研究では、選手が大会の2〜3週間前から暑さに体を慣らす必要があることが示されています。しかし、既存のトレーニングメニューに大幅な変更を加えると、選手の回復に支障をきたすことがあります。そこで、30〜60分間の温浴と高温多湿での低強度運動を7回実施することで、心拍数が低下し、汗に含まれるミネラルの濃度も下がり、効率的な暑熱順化が達成されることが報告されています。
興味深いことに、暑熱順化をより短期間で実現する研究も進んでいます。例えば、2021年に米国の研究チームが発表した研究では、摂氏40度の環境で40分間の自転車型トレーニングを3日間実施することで、体温や心拍数、血漿量に変化が見られ、迅速な暑熱順化が可能であることが示されました。このような方法は、短期間での順化を必要とするアスリートにとって非常に有用です。
また、欧州の研究チームはサウナを利用した順化方法も提案しており、これも実践しやすい手法として注目されています。国内では、東京五輪に向けて暑熱環境を再現できるトレーニングルームが広まったことも記憶に新しいです。しかし、これらのトレーニングで得られた順化効果は、涼しい場所に移ると3週間ほどで消失するという課題もあります。そのため、適切なタイミングでのトレーニングが重要です。
さらに、高地トレーニングとの組み合わせも効果的であることが明らかになっています。立命館大学の後藤一成教授によれば、低酸素環境でのトレーニングはヘモグロビンの増加を促し、持久力を高めるだけでなく、暑熱への耐性も向上させる可能性があります。東海大学などでは酸素や温度、湿度を自在に制御できるトレーニングルームを導入し、地上での効果的な暑熱順化を目指しています。
このように、スポーツ科学はアスリートのパフォーマンス向上に大きく貢献しています。パリ五輪に向けて、これらの暑熱順化の技術と知識がどのように活用されるか、注目が集まります。
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これらの研究はスポーツだけでなく、日常生活にも応用可能です。例えば、夏でも外回りが求められる営業さん(かくいう私もそのひとりです)にとって、暑熱順化の知識は非常に有益です。適度な運動と温浴を組み合わせることや、サウナを利用することで短期間に順化を進めることが可能なようです。これらの方法を活用することで、酷暑の中でも快適(?)に仕事を遂行する助けとなるでしょう。

日経新聞 2024年7月7日朝刊 サイエンス面
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOSG269BK0W4A620C2000000/?fbclid=IwY2xjawEdAyFleHRuA2FlbQIxMQABHUb2NgS92v30h5UBfTkloaNsVV6lU9Hwrpfg1I0cWqjRBRAe3Vkb8VoiJw_aem_Y77LYj4hUoON93z5jsoamg

 

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