MEMS技術の成長には「官」の支援が不可欠 — 官民学連携の重要性

本日(2025年2月9日)の日経新聞朝刊サイエンス面に興味深い記事が掲載されていましたので、ご紹介します。
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自動車の電動化やスマートフォンに欠かせない半導体部品。その中でも特に注目を集めているのが、MEMS(微小電子機械システム)です。MEMSは、センサーや駆動装置(アクチュエーター)などを半導体チップに集積した微細な機械システムを指し、世界中でその重要性が増しています。特に、自動車やスマートフォンの進化に伴い、MEMSの需要は着実に拡大しています。しかし、技術の発展が順調でない側面もあります。
2000年前後、日本はナノテクノロジーの進展とともにMEMS分野で世界をリードしていました。しかし、近年ではその存在感が薄れ、特に出荷額において日本企業のシェアは減少しています。たとえば、ヨール・インテリジェンスの調査によると、2015年に上位30社に名を連ねていた日本企業は10社から、2023年には4社に減少。また、日本企業の出荷総額に占めるシェアも20.1%から13.8%へと落ち込んでいます。
この背景には、MEMS分野の産業化が進む一方で、基礎研究段階では十分な支援が行われていない現状があります。産業化に向けて加速が求められる今、初期段階の研究シーズを育てるためには、産学連携だけでは不十分であり、「産官学」の協力が不可欠であると指摘されています。つまり、企業や大学だけではカバーしきれない部分を政府の支援によって補う必要があるということです。
この点を象徴する事例として、東北大学を中心に設立された「MEMSパークコンソーシアム」の活動があります。この組織は、2004年に産官学の連携を進めるために設立されました。当初、130を超える企業が参加していましたが、現在ではその数は43社に減少しています。MEMS技術開発には多品種少量生産が求められ、企業が進んで参入しづらい現実があるためです。それでも、残った企業は真剣にMEMS技術に取り組んでおり、試作ラインの利用件数が増加し、毎年2000万〜3000万円の収益を上げている点には注目すべきです。
MEMS分野の活性化には、政府の支援がますます重要になっています。たとえば、ドイツのボッシュなどの企業は、政府の支援を受けてMEMS技術の強化を進めています。日本も、研究開発から事業化に至るまでの流れをスムーズにする仕組み作りが急務です。
このように、MEMS技術の成長には、産学連携に加えて「官」の積極的な支援が不可欠です。特に、基礎研究段階では企業単独でのリスクが大きく、産業化が遠い段階の研究シーズを支えるためには、政府の役割が非常に重要です。初期段階の研究を実を結ばせるためには、産官学が一体となって協力する体制が必要であり、それによって将来的な産業化が加速することが期待されています。
MEMS分野は今後も成長が見込まれる分野であり、日本が再びその競争力を取り戻すためには、官民一体の取り組みが鍵を握っていることは間違いありません。
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https://www.nikkei.com/article/DGXZQOSG297KE0Z20C25A1000000/

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