カブトムシの新発見:子どもたちが解き明かす自然の謎

お盆期間中の日経新聞に小学生が大活躍した記事が掲載されていましたので、ご紹介します。

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カブトムシは、多くの日本人にとって馴染み深い昆虫です。夏になると、夜の街灯に集まるその姿を目にすることも多いのではないでしょうか。関東地区の都市部の公園にも生息し、その存在は世界的にも珍しいものです。しかし、意外なことにカブトムシの行動や生態については、まだ解明されていないことが多くあります。そんな中、小中学生の自由研究が新たな発見のきっかけとなり、注目を集めています。

茨城県つくば市に住む中学3年生の岩本和真さんは、自宅の玄関外で30匹以上の成虫のカブトムシを飼育していました。その際、野生のカブトムシが飼育ケースの周りに集まってくることに気づき、「フェロモンが関係しているのではないか」と考えました。この仮説を確かめるために、森林総合研究所の砂村栄力主任研究員と協力し、実験調査を行いました。
その結果、オスのカブトムシが「集合フェロモン」を出し、他のカブトムシを呼び寄せていることが分かりました。具体的には、オスと餌の昆虫ゼリーを一緒に入れたトラップにだけ、オスメス両方が集まるという現象が確認されました。これは、オスが餌を確保し、フェロモンを出すことで仲間を呼び寄せていることを示唆しています。
さらに、カブトムシの行動パターンについても新たな発見がありました。埼玉県に住む当時小学4年生の柴田亮さんは、自宅の庭のシマトネリコの木に昼間もカブトムシがたくさん集まることに気づきました。この観察をもとに、山口大学の小島渉准教授の助言を受け、カブトムシの行動を追跡調査しました。その結果、クヌギなどの木では夜行性であるカブトムシが、シマトネリコでは昼間もとどまり続けることが分かりました。
この現象について、小島准教授は「シマトネリコの樹液は少量ずつしか摂取できないため、満腹にならずにとどまり続けるのではないか」という仮説を立てました。また、オオスズメバチがカブトムシを攻撃することで、昼間の行動パターンにも影響を与えていることが確認されました。つまり、カブトムシの生活パターンは、食物の摂取量だけでなく、天敵の存在にも影響されているのです。
これらの研究成果は、子どもたちの好奇心と観察力によってもたらされました。カブトムシという身近な昆虫でも、まだまだ未知の領域が多く、誰もが新たな発見をするチャンスがあることを示しています。科学の探究心は、年齢や経験に関係なく、誰にでも持ち得るものです。そして、その探究心が新たな発見をもたらし、科学の進歩に貢献することを改めて感じました。

未来の科学者たちの手によって、さらに多くの謎が解明されていくことを期待しています。カブトムシの研究もその一環として、今後も続けられていくことでしょう。
科学の世界は常に新たな発見と驚きに満ちています。
読者の皆様も、ぜひ身近な自然に目を向けて、新たな発見に挑戦してみてはいかがでしょうか。

 

2024年8月11日 朝刊サイエンス面
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO82718340Q4A810C2TYC000/?fbclid=IwY2xjawEw0H5leHRuA2FlbQIxMQABHczdYclpVGCp6EeVWE74ZFFEPo7AaYehstptNZq9_fM8x5qE3Baki4blqw_aem_uWCuPEeL1cbTlPD0yYhR5A

 

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