巨大地震の謎に挑む「ちきゅう」――地球深部の声を聞く
横須賀、横浜にあるJAMSTEC(海洋研究開発機構)様には、広報ツールの作成や、シンポジウムのWebサイト作成などでご愛顧をいただいております。
11月17日の日経新聞 朝刊サイエンス面で、JAMSTECの地球深部探査船「ちきゅう」の活躍が掲載されていました。その要約をご紹介します。
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日本列島は、4つのプレートが複雑に交差する地域に位置しています。このため、世界的にも地震活動が活発な地域として知られています。その中でも2011年に発生した東日本大震災は、日本列島に未曽有の被害をもたらし、地震研究の枠組みに大きな課題を投げかけました。
震源域で確認された浅い部分の断層すべり――これにより巨大津波が発生しましたが、この現象は従来の学説では説明が難しいものでした。そのため、震災直後から科学者たちはこの現象を解明するための調査に取り組んでいます。その一環として、地球深部探査船「ちきゅう」が今年9月に再び震源域での掘削調査を開始しました。この調査は、震災翌年に行われた掘削調査の続編にあたります。
震災直後に行われた調査では、断層が粒の細かい粘土から成り、その粘土に含まれる水が地震の摩擦熱によって膨張し、断層すべりを加速させたことが明らかになりました。また、震災前に蓄積されたひずみがほぼすべて解放されたことも分かっています。しかし、こうした発見をもってしても、震災の発生メカニズムにはなお多くの謎が残されていました。
特に議論となっているのが、震災を引き起こした断層のすべりがどのようにして起きたのかという点です。震災以前の通説では、浅い部分のプレート境界は固着が弱く、断層すべりを起こさないと考えられていました。しかし東日本大震災では、この浅い部分が大規模にすべり、想定外の津波を引き起こしました。この現象を説明するために、「固着説」と「非固着説」という二つの仮説が提唱されています。
固着説では、浅い部分も力を蓄えることができ、その力が解放されて断層がすべったと説明します。一方、非固着説では、浅い部分は固着せず、深部での破壊が伝わって浅い部分も連動してすべったと考えます。今回の調査では、この二つの仮説のいずれが正しいかを明らかにするため、断層に加わる力や構造を精密に測定しています。
今回の掘削調査は、震源域の水深約7000メートルの海底からさらに掘り進め、震災後の断層の変化やその物質構造を調べています。沈み込む前の太平洋プレート上の試料も採取し、震災前後で断層を構成する物質にどのような変化が起きたのか、またその変化がどのように断層の強度に影響するのかを解明しようとしています。
調査を指揮するJAMSTECの小平秀一理事は、「プレート境界の浅い部分がどの程度力を蓄える特性を持つのかを解明することは、地震研究において重要な基礎となる」と述べています。また、筑波大学の氏家恒太郎教授も、現在の調査が順調に進んでいると報告し、粘土層の分布や断層への力のかかり具合に関する貴重なデータが得られているとしています。
東日本大震災は、私たちに「想定外の事象に備える重要性」を強く示しました。その教訓を未来に生かすため、科学者たちは地道な研究を続けています。「ちきゅう」による掘削調査は、地球深部の声に耳を傾け、次なる巨大地震への備えを築くための重要な一歩と言えるでしょう。
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いかがでしたでしょうか。
このように大変重要な研究を行っているJAMSTEC様を広報ツール作成でお手伝いできるのはとても誇らしいと思っています。
ぜひとも、下記のWebページもご覧ください。
2024年11月17日 日経新聞 朝刊サイエンス面
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOSG2097V0Q4A920C2000000/
地球深部探査船「ちきゅう」
https://www.jamstec.go.jp/chikyu/j/
海洋研究開発機構
https://www.jamstec.go.jp/j/
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