親心が鍵? 女子の理系への挑戦

日経新聞朝刊のサイエンス面に掲載された青木慎一氏の記事「女子の理系阻む親の思い込み 産官学で偏見・障害除け」を拝見し、現代日本における女子の理系進学を巡る状況について考えさせられました。この記事では、STEM(科学・技術・工学・数学)分野における女性の進出が依然として低迷している現実と、それに対する社会的な取り組みが紹介されています。

女子が理系に進学する割合は、日本の経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で最低レベルにとどまっています。特に、工学部入学者における女子比率は19%と、まだまだ低い状況です。しかしながら、最近では徐々に変化の兆しが見え始めています。例えば、2023年度の工学部入学者の女子比率は17.3%に上昇し、過去の10%程度から確実に改善が進んでいるようです。

この変化の背景には、産学官が一体となって女子の理系進学を後押しする取り組みが存在しています。メルカリの山田進太郎氏が設立したD&I財団では、女子学生への奨学金給付や大学との連携による研究室ツアー、女子学生との交流会などの活動を積極的に推進しています。また、東京工業大学では女子枠の導入が奏功し、一般入試でも女子の志望者数が増加しつつあります。

しかし、これらの取り組みが進んでいる一方で、依然として残る課題もあります。それは、保護者の意識の遅れです。親が「女子は数学が苦手」という偏見を持ち、子供の理系進学を躊躇させるケースが少なくありません。東工大が行った調査では、両親の理解や応援が不足していると感じる女子学生が多いことが明らかになっています。このような状況を打破するためには、保護者への働きかけが一層重要になるでしょう。

また、理系分野でのキャリアが見えにくいことも、保護者が不安を抱く一因となっています。特に医歯薬系の学部と比べると、理工系の将来のキャリアパスが不透明に見えることから、親が進学をためらうケースがあるようです。したがって、大学や研究機関、企業は、女性が働きやすい職場環境を整えるとともに、その取り組みを積極的にアピールする必要があります。

男女の性的役割に対する意識が強い家庭では、子供が理系に進む傾向が低いという研究結果も出ています。逆に、性差に対する偏見が少ない家庭の子供は、理工系に進学するケースが多いとのことです。このことからも、家庭内での意識改革が女子の理系進学に与える影響は非常に大きいと言えます。

STEM分野で女性が活躍するためには、これからも様々な障害を一つ一つ取り除いていく必要があります。そのためには、産学官の取り組みだけでなく、家庭や社会全体での意識改革が求められます。これらがうまく連動することで、次世代の女性たちが理系分野で活躍する未来が、より現実味を帯びてくるのではないでしょうか。

日経新聞 202491 朝刊サイエンス面<サイエンスNextViews
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO83159670R30C24A8TYC000/?fbclid=IwY2xjawFHjBVleHRuA2FlbQIxMQABHa630O6mMCSLBw0o0765tMjSwWanpcJtE0_ewR7tFHaCIiCLC1yYMMdMxQ_aem_gPj1sfF7YR2OwbQrWpPMow

 

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